eyelessfish
2017.09.29_08:15



職場の同僚がぼくのことを心配して、
ランチでも行きませんか?と誘ってくれた。
会社では話せないこともあるでしょう、と。
休みの日に同僚と会うのは初めてのことで、
要領がわからないまま行った。
気軽なランチだと思っていたけれど、
夕方まで相手のプランはびっしりと詰まっていて、
午後は昼寝しようと思っていたとっておきの予定はあっさりとなくなってしまった。

喫茶店で早めの昼食を取り、
(11時ごろでもモーニングセットでパンやサラダがつく)
公園を散歩し、
大型書店や図書館を巡り、
神社が建つ山の麓で甘味を食べて帰宅した。

好きな本は、とか
好きな人物が語る考えとか、
本にまつわることをたくさん話す一方で、
どれくらいの生きづらさを抱えているかということも、
話すことでその痛みは共有できたと思う。

けれど最後まで、
ぼくは自分の本当の痛みを打ち明けなかった。
もし打ち明けたなら、相手は間違いなくぼくに同情し、
次の日からぼくへの態度や上司への態度が変わるだろう。
それが嫌だった。だから何も言わなかった。

同僚にとって休みの日に出かけたことは、
ちょっとした秘密であり、
仲の良さを手に入れた充実感があり、
相手のことがわかったという自信があるようだった。
次の日、それを全面に出し、
「昨日はどうも」と微笑まれた時、
ぼくは少し怖くなった。

冷たくするわけではないけど、
なるべく普段通りに仕事をした。



ぼくだって嫌われたくない。
むしろ愛されていたい。
けれど、あなたのためを思ってと、
ぼくの希望を越えて尽くされると困ってしまう。
ぼくは望んでいないのに、
「あなたのためにしたことなのに。」
と、あとでがっかりさせることは
これまでにもたくさんある。


ぼくにとって最初で最後の彼女は
いつも自分のためであることが正直な人だった。
あの時は寄り添ってくれないことに時には寂しさを覚えたものだけれど。

「私が一緒にいたいの。一緒にいると私が幸せなの。君は必要なの。」

それがありがたかったのだと気づいた。


だって動物はいつもそうだし、
相手のことを思って(見返しを求めて)
愛してほしいと思っていない。
心地よい、気持ちいい、うれしい、安心、寂しい、辛い。
感じたことが溢れ出ている。



犬の頭は撫でられる。
猫の腹はさすれる。
でも、同僚のあなたのためにしてあげたいという気持ちは埋められない。
あなたの気持ちに寄り添いたいという思いだとしても、
その裏には、
アナタトナラオナジイタミヲキョウユウデキルワ
という期待が大いに含まれている。
それが恐ろしい。ぼくは何も返せない。


ワタシトアナタハオナジニンゲンナノ
これにたどり着くのが一番こわい。

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