eyelessfish
2016.06.01_00:58


朝7時に淹れたコーヒーは、
半日以上たった今も、
まだ温かみを持っている。
ぼくがむきになったりあきれたり困ったり笑ったり
眠気と戦っている一方で、
魔法瓶の中ではゆっくりと時間が流れていったのだろう。
もらったカップケーキを食べて、
おそるおそるコーヒーを口に含んだ。
だってもうさめて、冷たいと思ったし。
だけどそれは意外にも温かくて、
びっくりしたりほっとしたりして、
ああこんなことを文章にしておきたいなあと思った。
その温かみはいつかの一時に似ている。
コーヒーを淹れたものの、
色々考えているうちに何をやっていたかも思い出せないほどの作業をし、
ぼーっとしているうちに
いつのまにか冷めてしまったコーヒーのような、
思い出されてほっとしているようなコーヒーのあたたかさ。

こんな夜遅くまで出掛けるのは久しぶりで、
まだ明るいうちに飲んだお酒は
もう体からすっかり消えてしまった。
だけども帰り道を急ぐあまりに
ぼくの顔は紅潮している。
一人で寝るのはすごく怖いことだから、
彼女の意識がまだあるうちに、
隣に滑り込みたいと思っている。
帰ってきたから安心してねと伝えたいのだ。
夢の中へ行く前に、
ぼくは隣にいるよと伝えたいのだ。



彼女が淹れてくれるコーヒーは最近
甘過ぎるのではないかと感じる。
好みを知って淹れてくれているものだし、
心地よかったはずの甘味。
だけどそれが喉につかえるような感じがする。
脳に甘さが染み渡るとき、
ぼくはけっこう苦い顔をしている。



きっと飲み込めないものが混じっている。


変わった心とか、
不安定な気持ちとか、
信じて疑わない理想とか、
きっとそんな具合のものが。





甘さ控えめ希望。
手放せないコーヒーだから。

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