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eyelessfish
2016.01.20_16:09




「これってどこで買えるんですか?」

今から持ちかける相談事を切り出すのに
探し続けてやっとのこと口に出した言葉だった。

「あ、それ?通販。」

こちらの苦労など微塵も知るつもりもない。
短い返事だ。


淡々と、思い出したことと現状を組み合わせて
的確にぼくの悩みに沿って答えてくれた。
言葉を選んでいる、というよりは、
事実を選んで話しているという感じ。
事実はどちらの味方にも敵にもならないから
考えて決めるのはぼく自身になる。
ニュートラルでいる潔さがこの人の魅力だなあと思う。

作業をしながら話を進め、
その人はいつの間にか手にコーヒーを持っている。
どこかで見たステンドグラスのような色合いの
美しいコーヒーカップに、
酸味がありそうな軽いブラックコーヒーが注がれている。



昨日の葬儀を思い出した。
その人は昨日、眉間で涙を止めていた。
険しい顔で絶対に流すわけにはいかないと。
だが、ボスが近づきそっと肩に手を置いたとき、
隙を見つけたみたいに涙が流れ出した。
アウトドアで使うような黒いジャンパーと黒い靴を
かっこいいなあとぼくは見つめていた。

一服しようか。
ボスがその人を連れて出ていった。
洗面所に置いてあった、
あのオレンジの箱のたばこの持ち主がその時にわかった。





「まああまり深入りしないことだね。
私みたいになるから。
彼らのため、と思ってやっているうちに、
私たちのためでしょ?
って言われるようになってくる。」

その日最初で最後のこちらに向けた言葉だった。



その人がたばこを吸うところをぼくは一度も見たことがない。
コーヒーとたばこ。
どこで最初に出会って、どうやって身についたのだろうか。






死んだ犬は、姉妹だった。
世話をするときに何度も亡くなったほうの犬と
名前を間違えた。
ごく自然に呼ぶから、呼んでしまったあと悲しがった。
ぼくはその人の間違いを気づかないようにした。
その人も気にしなくなった。

犬だって最初から気にしてなかったと思う。



その人もこの春には結婚するらしい。幸せになってほしい。


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散歩していたら、こうゆうところがあって、
こんなところ、
階段があっても降りないよ。絶対に。
と、思った。

お正月に一人で散歩。
4時間も歩いた。
こんなことが5年に一度はある。
どこまでもいつまでも日が暮れるまで歩くということが。

なんで、こんなときに一人なんだろう。

そんな日も5年に一度くらいはある。

今はただ何もできなくて、
待つしかない日々でも、
いずれまた、
息もできないほど忙しい日々が訪れる。

けれども、ぼくも少しは大人になったことだし、
息ぐらいはできるようになったらいいなあと思う。
どんなに忙しくても、
スーーーっと息を吐いて、
また落ち着いて歩き出せるような。

どれだけ寂しくても、むなしくても、
意味がないことなんかないとぼくは信じている。

だって、今のぼくには大切な人がいる。

5年前は本当に一人だった。



一人じゃないよ、
私がいるのに。
そんなこと思わないで。


彼女は、
幸せなのよ、私。本当に。
って、泣きそうになりながらぼくを抱きしめた。



バラエティー番組が面白いところだった。
ああ見逃した。




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これは、なくなった公園の木なんだって。
公園は復興中。
木はもう公園の木だもんね。
待ってるんだなあ。