eyelessfish



彼女から聞きたくない話なんかあるだろうか。
と考えていたら、あった。
男と交わる話は聞きたくない。
交わるだけの友達がいたなんて彼女らしいなあと
感心してしまったのが
話を聞いたときの最初の反応だった。
気持ちと行動を分けられる力。
そこに苦痛ではなく楽しみを見い出せる力。
ぼくにはできないことで素晴らしいと思う。
彼女が過去にどんなことをしてきたとしても
その事実が今のぼくらになんの影響もしない。
だから別に聞かなくてもいい。
というのがまず前提にある。
でもぼくの意思としてやはり聞きたくない。
夢中になってたんだろうな。当時は。
純粋にぬくもりを求めていたんだろうな。
相手がどうしたら喜ぶのか考えて
喜んでもらうために努力して
本当に喜んでもらったときがうれしかったんだろうな。
それでも得られなくて。欲しいものが。
欲しいものが何かもわからなくて。
急に暗闇の中にいるみたいな不安に襲われて
何もしなくなったんだろうな。
大事にされてこなかったのに
大事にしてこなかったとだけ思っている彼女が
ぼくは本当にかわいそうで、
それでも恍惚とした彼女の表情が
かつての感触を探しているのにぼくは気づいてしまう。
だからぼくは男と交わる話は聞きたくない。
夢中になっているふりをするとき、
ぼくはさみしい。
大人になったなあぼくも。





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2015.05.13_00:31



明日のことを思うと、
ぼくは自分が変わったなーと思います。
その理由がいい理由なのか悪い理由なのかわかりません。

彼女とつきあいはじめてからのぼくは
すぐに変わることはありませんでした。

大勢いる場所でその場の空気を浮き上がらせるのが
ぼくはわりと得意です。
自分が目立つことで
その場の空気を和ませようと努力します。
ぼくの行動や発言により空気がふわっと浮くと
ぼくはとってもうれしくなります。
お互いのことを探っていたり、
蔑んだり、
横目に見たり、
無関心だったり、
そうゆう地面に張り付くような、
重たい空気が嫌いなのです。
目立つことも嫌だけど、
よかった、みんなが笑ってくれて。
と、安心するのです。
もちろんだからといって
みんながぼくのことを愛するわけではないでしょう。
その場で好感を持つのかもしれませんが
すぐに頭の淵に落ちて流れていく程度でしょう。
またなんとも思わない人もいるでしょう。
ただぼくは、その空気の流れに皆が引っ張られて浮き上がる
その瞬間が平和であると信じています。

ぼくは彼女と大勢の中にいてもそうでした。
彼女はそれがとても嫌だったそうです。
嫌で嫌で仕方なくて泣きました。
ぼくはそれを見て泣きました。
こうゆうときには彼女の気持ちを
一番大切にしなければいけないのだなーと思いました。


ぼくは明日何もしないでしょう。
ぼくは笑うだろうし相づちも打つだろうし
返事もするだろうし意見もするでしょう。
でも空気には触れないようにし、
おとなしくその重い空気の下で、
本当にそうするわけではなくて
突っ伏して寝るように過ごすでしょう。
みんなはどこかがっかりするかもしれません。
彼女は安心するかもしれません。
同時に彼女は自分を責めるかもしれません。
そうなるとぼくがどうするべきなのか迷ってしまいます。
その場にいなければいいのに。と願ってしまいます。



でも今、話しているうちに思いました。
必要以上に他人の気持ちを考えるのはやめよう。

ぼくはいつも考える。
ぼくはどうするべきなんだろう。

でも違う考え方をしてみる。
ぼくはどうしたいんだろう。



どうしたいんだろう。





2015.05.05_03:25




まるで、目の前にいるようかのような錯覚をする。
一度なくなったものが甦るのとは違う。
ずっと前から今までずっと存在しているかのように
温度やにおい、質感、空気、影、光、呼吸、
そのすべてが正面から立ち向かってきて
痛いくらいの「生」を感じる。
そのときぼくは無になって涙を流している。
ただ、ただ、大切で、いとおしい。
無くした存在が大きすぎて無くせない。
写真とはそのような威力がある。
見つけてしまった。
久しぶりに家に帰ってきて
たまたま引き出しを開けたらそれがあった。
ぼくはそれに向かって何度も何度も名前を呼んだ。
呼ぶ度に何もかもの記憶や気持ちが削ぎ落とされ
涙と一緒に下に落ちた。

会いたい会いたいと叫びたくなった。

ぼくの家族。ふさふさの犬だった。
小柄で丸くてふてぶてしい。
ぼくの大切な家族だった。

いなくなってしまう。
0になる。
いなくなったときはそれが
どうゆうことなのかわからなかった。
どんなに頭がいい人にだってわからないだろう。
いなくなったことをいなくなったと。
ぼくもわかっていないのだろう。
こうやって何度も同じように泣いてしまうのだから。




元気?とぼくはたずねるのです。
風に撫でられる君に。